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キャストスペシャルインタビュー

レディ・ナガン役 種﨑敦美さん インタビュー レディ・ナガン役 種﨑敦美さん インタビュー

―「僕のヒーローアカデミア」にはどんな印象を持っていましたか?


『夕方帯に放送されている大人気ジャンプ作品!』でしょうか。…というくらい触れた事がなかった理由は、おもしろければおもしろいほど関われていないことが切なくなってしまうことがあるので、なるべく、人気作品にはあえて触れないようにしていたりします。声優あるあるだと思っているのですが、どうでしょう…。


―そんな「ヒロアカ」で、ヒーローではなくヴィランを演じることについて、どう思われましたか?


演じる云々は置いておいて、読者や視聴者目線としての個人的好みで、真ん中のヒーローより、わけありの敵に惹かれるふしがありますので、お話をいただいてレディ・ナガンというキャラクターを初めて知った時は純粋にわくわくしました。


―レディ・ナガンですが、アフレコ前は彼女にどんな印象を持っていましたか?


声を担当させていただくことが決まってから原作を読ませていただいたのですが、彼女の強さやかっこよさ、過去の出来事も含めて全てが魅力的に感じました。たくさんの「だからこそ」を感じて、彼女の中に渦巻く複雑なそれらをちゃんと表現出来るよう頑張らねばと思いました。


―第134話「麗しきレディ・ナガン」では、ナガンの過去が色濃く描かれました。その点についてはいかがですか?


公安の汚い仕事をやっていく中で、元々彼女自身がヒーローに憧れていたからこそ、正義感が強いからこそ、社会がより良くなると思ってやる仕事がこんなものなのか、という絶望感は凄まじかったと思います。ただ、ああいった「絶対どうにかして状況を変えた方がいいけれど、自分だけが動いたところで何も変えられない」といったこと、そのやるせなさのようなものは私も生きている中で感じたことがあります。それと、ナガンは優れた力(“個性”)を持っていて、オール・フォー・ワンも「呪うなら自分の“個性”を呪え」って言っていましたが、その力がなかったら公安の仕事をしたり、絶望感を味わうことはなかったかもしれないけれど、彼女が純粋に憧れたヒーローとしての仕事もできなかっただろうし…。現実社会に生きている人たちも、形は違えど、「そういうことあるよね…」って共感する面もあると思います。


―アフレコはいかがでしたか?


演じなければならないこと、表現したいことが多かったのですが、その中でも「もっとなにくそ根性を」というディレクションをいただきました。冷静な“スナイパー”で強いキャラだけど、上手くいかなければ苛立つし怒る。戦闘中はそういった面も出せるようにしました。
それと、もちろんデクくんと戦っているんですが、デクくんもナガンもそれぞれ自分とも戦っているんだ、とディレクションもいただいて。口から発するセリフとモノローグとが入り混じっていたんですが、外にだけじゃなく自分の中に吐いていくのも大事だと感じた話数でした。あと、もうひとつ印象的だったのが、「スナイパーは重心がぶれてはダメ」というものでした。感情が昂っていても撃つ瞬間ブレてしまうとスナイパーではなくなってしまうということで、戦闘中どんなに感情的なセリフだとしてもそこは常に意識するようにしました。


―その「重心をブレさせない」というのは、アフレコのテクニックとしては例えばどういったものなんでしょう?


物理的なことで言うと…私はアフレコの時にキャラクターの動きに合わせて自分の体も動いてしまうことが多々あるのですが、今日は腰から下は一切動かさず、お腹の真ん中をものすごく意識をするというか…。そういったことで、発する声も全然変わってくる気がします。


―なるほど…!デク役の山下大輝さん、オール・フォー・ワン役の大塚明夫さんとの収録、掛け合いはいかがでしたか?


山下さんとこんな風にしっかりご一緒させていただくのは初めてだったのですが、デクくんとしてずっと真摯でまっすぐで、次の話数が(134話)改めて楽しみになりました。明夫さんはずっとどこか楽しそうで、実際「俺ねぇ、オール・フォー・ワン演るの好きなんだ、楽しいんだよぉ」とも仰っていて、何故か私がとても嬉しくなりました。


―第134話で戦闘を繰り広げた後、終盤にナガンが見せた姿も印象的でした。あのあたりを演じてみてどうでしたか?


デクくんとの戦いの終わり、フッと力が抜けた笑顔で「どんだけだよ」というセリフを言った瞬間は清々しさのようなものを感じました。一方で、自分の後釜で、自分と同じようにいろんなことをさせられているホークスとのやりとりでは…なかなかドンピシャな言葉が見つからないのですが、最初テストでは「俺、楽観的なんす」というセリフをそのまま受け取る形で「そうかよ」と返していたのですが、ディレクションで「ホークスが(公安の裏側も)" 全部受け入れて"やっているというところを汲んだ上で返してほしい」と言っていただいたあとはもう…切なさ、もどかしさ、でもどこか清々しさ、哀しさ、いろんな感情がおそってきました。ナガンは微かに笑っていましたが私は今にも泣きそうでした。そのなんともいえない感情を「そうかよ」にこめて本番は演じさせていただきました。


―最後に、ヒロアカファン・視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。


私が原作を読んでナガンに対して感じた部分や、表現したかったことが見てくださる皆様に伝わっていたらいいなと思いますし、デクくん、山下(大輝)さんとそれはそれはいろんなものを振り絞って頑張ったので、楽しんでいただけたら幸いです。


―ありがとうございました!

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