SPECIAL
キャストスペシャルインタビュー




―第136話「デクvsA組」のアフレコ、おつかれさまでした。収録はいかがでしたか?
まず、コロナ禍で全員揃っての収録が難しくなった中、デク役の山下さんをはじめ、1期から物語の中で飯田が深く関わってきたキャラクターを演じる皆さんと並んで一緒に収録できたこと、それもこの第136話で出来たことに感謝したいです。そして、その分気持ちも入りました。
―収録前に原作でこのエピソードは読みましたか?
直前に読みましたが、何も考えないようにしました。A組のみんなの声や演技で印象や解釈が変わってくるかもしれませんし、考えないといけないところは考えつつも、引っ張られすぎないようにして、どういう志を持ってデクを説得するか、そこは自分の考えをもって今日を迎えるようにしました。

―飯田という視点で見ると、6期のこの一連の物語は、2期の「ヒーロー殺し編」がポイントになっているように思えます。そのあたりについてはどう感じましたか?
飯田の「君はいつだって俺の先を行く だから君に挑戦するんだ」というセリフもありましたが、飯田にとって、デクはヒーローとしてずっと先にいる存在で、自分を救ってくれたヒーローとしても見ていると思うんです。ヒーロー・インゲニウムから見ているデクと、飯田天哉から友だちとして見ている緑谷くん、双方の気持ちがあります。そんなデク、緑谷くんが、「自分だけで」と固執する“ひとりよがり”なヒーローになろうとしている。境遇や状況は違うにしろ、それを飯田は「ヒーロー殺し編」の時の自分の姿に重ねたのかな、と思います。自己犠牲ではなく、“ひとりよがり”という言葉が一番しっくりくる気がしました。

―この第136話で印象的だったのは飯田がデクの手を握るシーンです。あのシーンの収録を振り返ってもらえますか?
空中に飛んでいるしデクも必死に逃げようとしているので、最初はしっかり声を張るように演じました。それと、「どこへでも駆け付け、迷子の手を引く」というヒーロー・インゲニウムとしてデクを救けようとするセリフを言った後に、思いがあふれて「余計なお世話ってのはヒーローの本質なんだろ」という、デクが以前かけてくれた言葉を飯田天哉として言う。そのあたりも意識したのですが、「もっと語りかけて」とディレクションをいただいて、「挑戦するんだ」の直前くらいには飯田として言葉をかけるようにしました。凄いスピードから生まれる“G”でインゲニウムのコスチュームが剥がれていく中で、飯田天哉として「僕は君が救けたヒーローで、今度は僕が君を救ける」という思いも込められているのかなと思いました。

―6期もあとわずかです。ヒロアカファン・視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
6期になってから、人生を左右する命の天秤が乱高下しているような展開で、いったい「僕のヒーローアカデミア」とは何なのか?どういう解釈のタイトルなのか?と自問自答することがあったと思います。あらためて1期から5期まで、彼らがイチ高校生であることがわかるエピソードを観てもらえると、いま直面している事態や、そこで生まれる本来なら持たなくてもいい覚悟をもって、彼らがその瞬間瞬間に臨んでいる重みが増して感じられると思います。ぜひひとつの人生としてヒロアカを解釈して観ていただけると嬉しく思います。
―ありがとうございました!